経営戦略室 CaaSプラットフォーム推進責任者 天野さんインタビュー

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これまで歩んできたキャリアについて教えてください。
私は24歳の時から約11年リクルートに在籍していました。約2年営業を経験した後、3年目にマーケティング局に異動、その後は営業企画、事業企画、事業統括などあらゆるポジションにメンバーとしても、ゼネラルマネジャーとしても携わりました。その後、カカクコム入社し、食べログ事業の戦略策定部長として事業を推進してきました。

2017年にIDOMに入社し、現在は経営戦略室で、企業成長に必要なプロセスを数年単位で設計しながら、クルマに関するサービスを、国や官公庁、さまざまな業界の企業と協業し、幅広く社会に価値提供していくCaaS(Car as a Servis) プラットフォーム事業の責任者をしています。また新サービス立ち上げにも事業責任者として携わっています。

どのような経験が、現在の天野さんを形成していると感じますか?
ー事業企画時代に苦労して掴んだ感覚が、企画マンとしての大きな肥になっています
企画マンとしての駆け出しの頃は「優秀な文房具になる」ことが重要だと思います。文房具は、使う人のやりたい行動に合わせてそれを実現するために欠かせない道具ですが、要は「関わる人、意志決定者の頭の中を企画に仕立てる」ことが若手企画マンの一番の役割なので、上司が雑談めいて会議している内容をよく聞いて、それを材料にしてどれだけ良い企画(資料)にスピード感を持って落とせるかが試されました。その結果、「ああ、こいつ便利だな」と、まず思ってもらえるかが勝負です。

当時、携わっている事業に関する資料を月に何百枚も作り、その中の1枚でも次の事業戦略資料に入れてもらえるかどうかが大切で、使ってもらえなければ企画マンとしての存在意義がないと思っていました。初めのうちは箸にも棒にもかからなかったのですが、そのうち自分の資料が事業戦略資料の要素に少しづつ入れてもらえるようになり、次第に組み込んでもらえる要素が増えていきました。質より量で資料を作るうちに、case-by-caseで、こういう状況の時にはこういう見立てや書きっぷりの資料が必要、そのための関わる事業の背景、マーケット、組織コンディションの客観的把握の精度など、企画を仕立てる上での大切な感覚を掴んでいきました。そこは誰かに教えてもらうのではなく、自分で努力して得る以外ないと思っています。そのうち資料だけではなく、企画自体を提案できるようになりました。

ーマーケット、組織、経営の観点を軸に「合理」「情理」を併せ持って事業を俯瞰すること

新規事業などでPMをしていた時は、事業をモニタリングする経営企画を「イエス」と言わせないと新たな方針決定ができないので、とにかく毎日彼らと壁打ちをして事業を前進させていきました。当時、外資系コンサルティング企業の社員を出向者として受け入れ一緒に事業を創っていたのですが、その人たちと一緒に毎日議論して考えをブラッシュアップさせていった経験は、自分にとって大きな糧になったと思います。

新規事業開発のHow to本はもちろん過去に最低限読んでいますが、「百聞は一見に如かず」で、とにかくマーケットに目を向けて多角的に捉えた事象を基に企画化し、それを優秀な先輩たち、あるいはマーケットそのものに壁打ちさせてもらう。これの繰り返しかなと。

 事業統括時代はもっと大変でしたね。自分が事業を推進していた時は、経営企画の人にモニタリングしてもらう立場でしたが、今度は自分が事業をモニタリングする側になりました。

当時その部署は、前職が外資系コンサルティング企業出身者で経験豊富な先輩ばかり。そこに放り込まれました。そこでは、今まで事業上こうだと信じてきたものが、コーポレート観点が加わると全く違う視点で事業を見なくてはならないことを学びました。より抽象度高く事業の状態を構造化して物事を考えることがまず求められ、それでいて、各論も理解していないといけない。毎日怒鳴られました。モニタリングしアドバイスする側は、担当する事業の業界知識や推進するスキルはもちろんですが、そもそも事業を背負っている人たちと対等にコミュニケーションできる対話力がないと、務まらないので当然です。

モニタリング資料を見て、事業責任者相手に、ズバっと本質を突く指摘や質問をしなくてはならないので、毎日緊張感がありました。

今思えば、事業サイドと経営サイド、両方経験する中で、物事を俯瞰して見る癖がつき、今に役立っています。ただ、組織は人です。そのため、ガチガチのロジックだけでは、人はもちろん組織は動かないので、人としての柔軟性も必要だと強く体感しました。

まさに、「合理」と「情理」を併せ持つことが、事業や組織運営には欠かせないことも学ぶ良い機会となりました。

IDOMにおいて、事業の推進に必要なスキルは何だと思いますか?
まず新規事業開発の意思決定軸や求められることとしては、IDOMであろうと他の会社であろうと、規模の大小問わず、事業会社であれば一緒かと思います。よく言われる事として、
・その事業は世の中の何のためになるのか(見立てる)
・マーケットの納得感はあるか(見立てる)
・実現し得る方法を論理立てて構築できているか(仕立てる)
・その方法を組織として運営していく準備ができているか(仕立てる)
この辺りがきちんと整理されていることは大前提で、
・オーナー意識を持ってやり抜く意志があるか(動かす)
・周囲の協力や理解を得て巻き込めるか(動かす)
・一方で、明確なEXITラインを自ら決められるか
というマインドというか、腹決めが必要なのでしょうね。
ただ、ある一定規模の企業で事業立ち上げをする際、社内外の多くのステークホルダーとのやり取りが発生します。そのため、書いたシナリオに対して責任を持つためには、それなりの知識と経験がないと、なかなかマネージできません。不測の事態も多々あります。

営業企画、事業企画としての経験とスキル、また経営企画として組織全体における事業を客観的にモニタリングしてスケールさせていく経験とスキル。など、新規事業開発に必要な経験、スキルのパーツは他にも様々あると思いますが、今思えば私自身、これまで様々な部署を様々な立場で経験してきたことはとても幸運でした。

事業に関わる全てのプロセスに対して知識と経験があればベストですが、仮に経験はなくても、担当する業界のバリューチェーンを理解しながら、情緒的なことにもバランスをとって立ち回れることは必須だと思います。

IDOMに入社する価値をどのように捉えていますか?
ー短期間で圧倒的に成長したい、という強い思いがあるからこそできる選択
現在クルマのマーケットは、プラットフォームやIT、Web領域などからどんどんと新たなプレイヤーが入ってきていて、自動車業界は世界レベルでかつてない激動の時代を迎えています。私たちは今まで中古車業界ナンバーワンを創り上げてきたガリバーからIDOMに社名変更してまで、時代の変化に立ち向かおうとしています。IDOMという企業のフェーズや、今創っているCaaSプラットフォーム構想も、ある意味混沌としている状況にあると思います。
この混沌としている状況をチャンスだと思って飛び込むということは、短期間で自分自身を圧倒的に成長させたい、という強い思いがあるからこそできる選択なのかと思います。
先ほども述べましたが、IDOMのように、ある一定規模で事業立ち上げをするということは、社内外で関わるステークホルダーの数も多く、そのぶん大変なことも多いということです。もちろん成長機会は新規事業に携わることだけではありません。むしろ、IDOMの売上の殆どを占める既存事業をどのように成長させて行くかは大きな経営課題であり、新規事業開発と同じくらい、またそれ以上に大変な役割を担っています。
私はこれまでの経験を活かしながら、これからのIDOMの未来の基盤を創って行きたいと考えています。だからこそ、自分が経験してきたこれまでの知識やスキルは惜しみなく、今関わっている様々な事業や取り組みを通じて、アウトプットしていこうと思っています。
IDOMという企業の現状を、そして私たちが挑もうとしているクルママーケットやIDOM自体の未来創造への取り組みに興味を持っていただけたら、是非、直接お話をさせていただきたいと思っています。

 

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