IoTで激変するクルマの未来 〜うごラボ#4〜
第4回うごラボは、世界各国で自動車産業の取材を続けるジャーナリストの桃田健史氏を迎え、「IoTで激変するクルマの未来」をテーマに開催されました。
自動車産業はIoT最大のマーケット
冒頭では、株式会社IDOM 新規事業開発室の許直人より、IT畑を歩んできた自身の経歴から、自動車産業がITにおいては最後の成長分野であり、IoT最大のマーケットであることやその魅力について語っていただきました。
自動運転実用化に向けてロビー活動を本格化する米国の今
↑質問を募る桃田氏
桃田氏は、長年取材を続けている米国のEV市場について、米国防高等研究計画局(通称 DARPA)を卒業したメンバーがGoogleをはじめとする民間企業で取り組みをはじめたことが急速発展のきっかけであったことや、今年4月にFord、Volvo、Google、Uber、Lyftの5社が提携を発表し、アメリカ国内での自動運転実用化に向けたロビー活動が本格化してきている状況について解説しました。
また、自動運転の分野において日本がやや立ち遅れているものの、2020年の東京オリンピックを目指し今後数年で加速すると見解を示し、参加者にもディスカッションのお題として投げかけていただきました。
テーマ1:自動運転は社会にとって本当に必要か?
↑テーマを投げかける桃田氏
4人一組でディスカッションが行われ、桃田氏の強引な(?)指名により数名の参加者の方に発表いただきました。
- 運転手の高齢化により、自動運転が導入されるのはタクシーが最初になるのではないか
- 高齢・過疎化が進む地域では自動運転は重要な役割を担う
また、クルマが好きだという参加者の方からは、
- 運転が好きだから自動運転車には乗らないと思う
といった意見も出ました。
その後、世界の自動車普及図とともに、クルマが売れ方が変わる”パラダイムシフト”(自動車経済圏の変化)の話から、各自動車メーカーの戦略車開発がどのように変化してきたのかを解説していただきました。
ハイブリッド車→プラグインハイブリッド車→EV(電気自動車)→FCV(燃料電池車)がその流れです。
また、昨今中国政府が米国政府に相談を持ちかけて策定されたNEV法(ニュー・エネルギー・ヴィークル規制法)の動きに見られるように、燃費規制をアメリカ主導で進めるロビー活動が本格化している話から今回のメインテーマである「IoTで変わる自動車産業」へと話が進みました。
↑米国の取り組み事例について傾聴している参加者の皆さんの様子
桃田氏は、米フォード・モーターのモビリティサービス開発への取り組みを事例に、「いよいよ自動車メーカーもこれまで一切手を出してこなかった分野に力を入れるようなってきた経緯や、トップ自らが、とりあえず何かをやっておかなければ、という意識で取り組んでいる」と、インタビューを通じての実感について語りました。
また、日本国内の自家用車が稼働しているのは1日のうち1時間くらいであり、使われていない時間を活用する=シェアリングが進むことをデータとともに紹介しました。
一方で、ITにより産業構造が激変している中で、自動車産業は時代の変化に追いついておらず、「メーカーは相変わらずプロダクトアウトであり、クルマがどのように使われているのかを把握できてない。」とし、これからはクルマの一生を追う、データの争奪戦となることを改めて強調した上で、次のテーマを参加者に問いかけました。
テーマ2:IoTで産業が激変する中、ビジネスチャンスを実利に結びつけるために個人として、企業人としてどんなアクションを考えているか?
今回の参加者の方の中には、IT関連だけでなく、自動車メーカーや保険会社の方もおり、それぞれの立場での考えも発表いただきました。
- ライドシェアなど車のあり方が変わっていく中で、保険の分野でも新しいサービスを展開できるはず
- 自動車メーカーは、国と組んで社会問題を解決するようなモデルケースを作るべき
- 自動運転によっていろんなことが現実になるのかもしれないが、ITはまだ信用できないところがあるので、クルマは命を預ける乗り物だけに自動車メーカーの技術革新に期待している
↑パネルディスカッションで盛り上がる会場の様子
今回のうごラボは150名以上の方にご来場いただき、パネルディスカッションは株式会社IDOM新規事業開発室室長の北島昇も交わり、22時過ぎまで行われました。
パネルディスカッションには事前のご相談もなく、IT分野および自動車メーカーの方に登壇いただき、普段は公共の場でお聞きすることができない本音をお話しいただきました。
突然のお誘いにも関わらずご登壇いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!次回のご参加も心よりお待ちしております。